「とりあえず動画を載せれば売れる」
そんなふうに考えていませんか?
ECサイトやホームページで「動画を活用したい」という声をよく聞きます。
ですが、

どんな動画を作ればいいのか
どこに載せればいいのか

そもそも本当に効果があるのかと、悩んで立ち止まってしまう方も少なくありません。
この記事では、ECサイトにおける動画活用について、「目的」「動画の仕様」「掲載方法」
の3つの基本ポイントをわかりやすく整理してお伝えします。

ECサイトに掲載する動画の「目的」を決めよう

1.ECサイト自体の「信頼感・ブランド力アップ」

目的

  • ECサイトが「どんな想い」で運営されているかを伝え、安心感や共感を生む。
  • 競合との差別化、独自性のアピール。

具体例

  • 代表者やスタッフが登場し、会社の歴史やこだわり、想いを語る動画
  • 生産者や製造現場を紹介するドキュメンタリー風映像
  • 産地の景色や地域性を活かした「産地感」を演出するイメージムービー

2.商品の「魅力訴求・購買促進」

目的

  • 文字や写真では伝えきれない、使い方・品質・シズル感を動画で伝える。
  • 購買意欲を高める。

具体例

  • 商品が調理される様子や食べるシーンを映したシズル動画
  • 開封・使用・設置までの体験イメージ動画
  • 他商品とのセット提案やギフト利用シーンを紹介

3.「使い方・サービス説明」で購入ハードルを下げる

目的

  • はじめて利用する人の不安解消
  • サービスや注文手順を分かりやすく伝える。

具体例

  • 注文から発送・到着までの流れ紹介
  • 会員登録・購入手順の操作説明動画
  • 保存方法や解凍・調理方法の案内動画

4.シーズン・キャンペーン訴求

目的

  • 期間限定商品や季節イベントへの注目を集める
  • 特別感・限定感を演出し、購入の後押しをする。

具体例

  • お歳暮・お中元・年末年始特集動画
  • 母の日・父の日・敬老の日などギフト特集動画
  • タイムセールや限定販売キャンペーン告知動画

5.採用やパートナー向けPR

目的

  • 顧客以外にも、採用活動や取引先開拓で活用。
  • 企業の魅力を多面的に伝える。

具体例

  • 働くスタッフのインタビューや現場紹介
  • 仕入れ先や物流パートナー募集用メッセージ

動画を作る前に大切なのは、「誰に向けて、何を伝えたいのか」を明確にすることです。すべての人に向けて情報を詰め込むと、結局何も伝わらない動画になってしまいます。まずはお客様像と伝えたいメッセージを絞り込むことから始めましょう。

動画の「仕様」を設計しよう

動画の長さ(尺)の目安

長さの目安主な用途・意図特徴・注意点
15秒〜30秒・SNS広告用
・スマホ向け短尺動画
・最後まで見てもらいやすい
・要点を絞ってインパクト重視
45秒〜1分・ECサイトTOP掲載用
・キャンペーン告知
・商品やサービスの魅力をテンポよく紹介
1分〜3分・ブランドストーリー紹介
・インタビューや密着動画
・共感・安心感・信頼感をじっくり伝える
5分以上・YouTubeチャンネル用
・採用やドキュメンタリー風動画
・深く理解させたい内容向け
・離脱リスクが高いので導線設計が重要

ポイント

  • ECサイト用は「30秒〜1分程度」が掲載しやすく、視聴完了されやすい。
  • SNS広告やキャンペーン告知なら「15秒〜30秒」が効果的。
  • ブランド訴求や信頼獲得なら「1分以上」も検討。

テロップ有無・字幕の考え方

種別特徴・効果活用シーン・注意点
テロップあり(字幕あり)・視覚だけでも情報伝達可能
・オフィスや電車内でも見られる
・SEOやCVR向上に寄与
・ECサイト掲載用
・SNS広告
・無音視聴が多い環境向け
テロップなし(映像・音声だけ)・シズル感や雰囲気重視
・映像美を楽しませる
・トップページの背景演出
・BGM中心のイメージ動画

ポイント

  • 基本は「テロップあり」を推奨(無音視聴対応、情報補完、SEO効果)。
  • ブランドイメージ重視やシズル演出なら「なし」もアリ。
  • テロップのフォントやデザインもサイトイメージと合わせると統一感UP。

縦型・横型(アスペクト比)の考え方

種別比率特徴・主な用途
横型(16:9)16:9・PCやTV画面で見やすい
・YouTube、ECサイト掲載向き
縦型(9:16)9:16・スマホ縦持ちで見やすい
・Instagramリール、TikTok、YouTubeショート向き
正方形(1:1)1:1・共感・安心感・信頼感をじっくり伝え・フィード投稿に適している
・スマホ・PC両対応しやすい

ポイント

  • ECサイト掲載は横型(16:9)が基本。
  • SNS展開も考えるなら、縦型や正方形の派生パターンも用意すると汎用性UP。
  • 素材を横型で撮っておくと、あとから縦型や正方形にも編集しやすい。

ホームページへの「掲載方法」を選ぼう

埋め込み(YouTubeやVimeoなど外部配信サービス経由)

特徴

  • 自社サーバーにMP4などをアップロードし、HTML5
  • 完全に自社デザインに統一でき、外部サービスに依存しない。

メリット・デメリット

メリットデメリット
・サーバー容量・通信量を気にしなくてよい。
・読み込み速度・スマホ対応が安定しやすい。
・再生数や視聴データをYouTubeなどで確認できる。
・動画だけ単独URLでも共有できる。
・YouTubeロゴや関連動画が表示されてしまう(設定次第で軽減可)。
・Vimeoならよりブランディング重視で広告、関連動画なしに設定可能(有料プラン推奨)。

活用例

  • トップページメインビジュアルのすぐ下に埋め込み。
  • 商品ページに説明・調理シーン動画として埋め込み。

直接設置(自社サーバーにMP4などの動画ファイル設置)

特徴

  • 自社サーバーにMP4などをアップロードし、HTML5 <video>タグで直接再生させる方法。
  • 完全に自社デザインに統一でき、外部サービスに依存しない。

メリット・デメリット

メリットデメリット
・YouTubeやVimeoのロゴ、関連動画が出ない。
・完全オリジナルデザインで掲載可能。
・サイト内の一部背景やトップビジュアルとしてループ再生、自動再生、音声OFF設定などが柔軟にできる。
・サーバー負荷、容量、通信量に注意が必要。
・高画質だと読み込みが遅くなるリスクあり。
・再生解析が自社で難しい。

活用例

  • トップページの背景ムービー(音声なし・ループ・自動再生)。
  • 商品紹介エリアのビジュアル演出用短尺動画。

ポップアップ・モーダル表示

特徴

  • 「動画を見る」ボタンを設置し、クリックするとポップアップやモーダルウィンドウで再生させる方法。
  • ページ全体のレイアウトを崩さず、任意のタイミングで視聴させやすい。

メリット・デメリット

メリットデメリット
・ページのビジュアル負荷を抑えられる。
・視聴者に「見たい人だけ見せる」設計が可能。
・動画の導線設計(CTA)をしやすい。
・クリックしてもらわないと視聴されにくい。
・実装にはJavaScriptやライブラリの活用が必要。

活用例

  • 商品説明やFAQページで「詳しくはこちら」ボタンで開く。
  • トップページで「ブランドストーリーを見る」ボタンで開く。

動画をホームページに掲載するなら、まずは「YouTube埋め込み」がおすすめです。自社サーバーに直接設置するよりも表示速度や安定性に優れ、スマホでもスムーズに再生できます。さらに、YouTubeに公開することで再生数や視聴状況を分析できるほか、URLをシェアしてSNSやメルマガなど他の集客にも活用できるため、幅広い効果が期待できます。

まずは「目的・仕様・掲載方法」を決めるところから始めましょう

「とりあえず動画を載せてみる」という考え方では、期待した効果は得られません。動画は、ただ目立たせるための飾りではなく、しっかりと目的を持って活用することが大切です。誰に向けて、何を伝えるのか。そのために、どんな長さや内容、見せ方にするのか。そして、どこにどのように掲載するのか。これらをきちんと設計することで、動画はお客様に共感や安心感を届ける強力なツールになります。狙いに合った設計をすることこそ、成果につながる動画活用の第一歩です。