農業は異常気象などの自然条件や市場価格に左右されるため不安定で、機械や資材、肥料などの様々な物価が高騰する中、卸販売だけでは収益率が低く、初期投資の回収にも時間がかかるという課題があります。このような中、自社ECサイト(直販サイト・オンラインショップ)の運営は、農業の収益アップに繋がる新たなデジタル戦略として注目を集めています。自社ECサイトを活用することで、農家自身が直接消費者に商品を届けられるため、収益率の向上やブランド力を強化できます。本記事では、自社ECサイトを活用して農業収益を最大化する方法を具体的に解説します。
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農家直送!自社ECサイト運営のメリット
農業収益アップ・利益率の向上
自分で育てたお米や野菜、果物などの農産物の価格を自由に決めることができます。そして仲介業者を通さずに直接消費者へ販売することができるため、利益率の向上が見込めます。
全国への販路拡大・24時間いつでも注文可能
インターネットを通じて販売をするため、一気に販路を全国へと拡大することができます。また注文自体は24時間いつでも注文できますので、寝てる間や農作業中もご注文を受け付けすることができます。
自社顧客の獲得
自社ECサイトを活用することで、消費者と直接つながりを持つことが可能になります。例えば、購入したお客様が、毎年収穫の時期にリピート購入をしてくださることで安定して売上を期待できます。また、購入者からのレビューや意見を参考にして商品改善を行うことで、顧客満足度を向上させることができます。
自社のブランド強化
自社ECサイトを活用することで、農家独自のブランドを確立し、消費者にアピールすることができます。例えば、生産過程や地域特有の魅力をストーリーとして発信することで、他の商品との差別化を図ることが可能です。また、商品パッケージやロゴデザインにこだわることで、視覚的な訴求力を高め、消費者の記憶に残りやすいブランドを築けます。
リアルタイムでの柔軟な販売
天候の影響で規格外が多数発生した場合も、自社ECサイトはその状況を伝えつつ販売することができますので、農産品を無駄にせずリアルタイムに無駄なく販売することができます。このようなマイナスと思われることでも応援や協力の気持ちで購入してくださる顧客が生まれるきっかけとなることや、農家さんが直接売るという特別感を演出することになりブランド価値を向上させることも期待できます。
1個から販売、シーズン予約まで
通常卸では到底扱ってもらえない数に限りがある農産品もECサイトでは販売したい数を設定し販売することができます。また、例えば7月に収穫できる農産品を、あらかじめ早めに予約を受け付けることも可能です。このような販売方法を使うことで収穫までに予約だけで完売してしまう農園さんもあります。
農家直送!自社ECサイト運営のデメリット
顧客対応(クレームなど)
自社で直接販売を行う場合、顧客からの問い合わせやクレームへの対応が発生します。例えば、商品に不備があった際の交換や返金対応、配送の遅延に関する問い合わせなど、消費者とのコミュニケーションが増えることが予想されます。これらの対応には時間と労力が必要で、特に繁忙期にはリソースが不足しがちです。
EC運営スキルが必要
ECサイトの運営には、商品登録、注文管理、マーケティング活動(SNS活用や広告運用など)など、多岐にわたるスキルが求められます。特に、広告やデータ分析を行う知識が不足している場合、集客や売上向上が難しくなる可能性があります。また、これらのスキルを学ぶ時間やリソースの確保も課題となります。
個別配送や梱包の手間
消費者向けの直接販売では、商品の梱包や配送を個別に行う必要があります。これにより、これまで農作業に集中していた時間を割くことになり、物流コストも増加します。特に商品の鮮度を保つための特殊な梱包やクール便の利用などをする場合、作業の負担が大きくなる点も課題です。
EC構築の初期費用やシステム利用料
ECサイトを構築する際には、初期費用やデザイン料、機能追加にかかるコストが発生します。さらに、ショッピングカートのシステムを利用する場合、毎月のシステム利用料や決済手数料が必要となります。これらの費用は売上が軌道に乗るまでの間、農家の収益に影響を与える可能性があります。
農業にデジタル戦略を取り入れる重要性
農業におけるデジタルシフトは、単に収益向上を目指すだけでなく、持続可能な農業経営を実現するための鍵となります。特に自社ECサイトは最近注目されており、以下のような効果を見込んで、農園が直接運営するECサイトも増えています。農業のデジタル戦略を考える上で参考にしてください。
大口卸先への依存を分散
ある大口の卸先に依存してしまうと、その年の市場価格で一気に収益率が変わってしまい、農業収益に影響を及ぼします。自社の顧客を育てて、毎年自分の作った農産品を楽しみに待ってくださるファンをつくることで、大口依存のリスクを低減することにもなります。
体力とのバランス
自分の体力と農地面積や収益を考えて農業機械やドローンを導入するのと同じくデジタル技術を活用した自社ECサイトで直接販売する販路を今のうちから作っておくという選択肢も非常に大切です。自社ECサイトがあることで、自分が年を重ね、あと何年農業をできるのかと考えた時に面積を少し減らして収益を上げるビジネスモデルへと変更することも可能になります。デジタルを活用することで新しい農業の形が広がります。
自分の育てた農産品の魅力を発信
スーパーや店頭でみかける農産品は自然の力だけでは到底つくることができません。農家さんの毎日の手間ひまや地道な積み重ねと努力で美味しい農産品ができあがります。育った地域の魅力や、作り手のこだわりをストーリーとして感じながら、いただく農産品の美味しさは格別です。自社ECサイトはその魅力を惜しみなく伝えられるのが特徴です。スーパーに陳列されるだけでは伝えきれない魅力を発信することで、自分の作った農産品のファンを増やせます。
デジタルシフトを始めるための第一歩
専門用語やカタカナを覚えるのは苦手な方も多いと思います。現在は無料で簡単に始められるECサイトも多数あります。勉強するよりもまずは一歩踏み出して、実際に触ってみると意外とできることもありますので、興味がある方はまず触ってみることをオススメします。
- 簡単なEC構築ツール:初心者でも利用しやすいシステムを使って始める
- 小規模スタート:品目を絞り、数量も少量から販売を始めてみる
- 専門家の活用:地域のIT支援やECコンサルタントを活用してサポートを受ける
本格的に販売を強化してみたい。ECサイトに力を入れたい。という方は最初から色々な知識やノウハウを持ったECコンサルタントへ相談することをオススメいたします。お気軽にご相談ください。(初回無料)
まとめ
農業は異常気象や市場価格の変動により収益が不安定であるという課題を抱えていますが、安心安全で美味しい農産品は無くてはならないものです。現状の農業でも課題が多く大変かと思いますが、未来の農業を見据えてデジタルを取り入れた農業を検討していくことは大変重要です。これからの農業を考える上での一つの選択肢として参考になれば幸いです。