今、AI(人工知能)が急速に進化し、私たちの生活やビジネスを大きく変えようとしています。

かつてIT(情報技術)が登場した時、多くの人は「インフォメーションテクノロジー? それが一体なんだ?」と懐疑的だったように記憶しています。しかし、気づけばインターネットやスマートフォンが世界のあり方を一変させていました。「もっと早くから勉強し、習得しておけばよかった」と、当時を振り返って後悔した方も少なくないのではないでしょうか。

私自身、日々ECやデジタルの現場にいますが、AIがもたらす変化は、あのIT革命すら上回る可能性があると感じています。これは、歴史の教科書で学んだ「産業革命」、大きな転換点ではないかと考えているのです。

繰り返される「革命」のインパクト

私たちは今、便利なモノやサービスに囲まれて生きていますが、それらが登場した瞬間は、まさに「革命」でした。

  • 繊維: 蚕や綿、ウールから衣服を量産できる技術が生まれ、人々は多様な服を当たり前に着るようになりました。
  • 鉄鋼: 鉄が加工できるようになり、強固な道具や建築物、そして鉄道が生まれ、世界は激変しました。
  • エネルギー: 石炭から石油、ガスへと主要エネルギーが変わるたび、産業構造やライフスタイルが根底から覆されました。

これらはすべて、当時は「画期的な大発明」でした。IT革命、そして今回のAI革命も、これらと同じ、あるいはそれ以上のインパクトを持つ「歴史的な出来事」なのではないでしょうか。

もちろん、メタバースや5Gのように、「普及する」と言われながら期待ほどではなかったものも多くあります。しかし、AIの波は、実務で使っていても本物ではないかと感じています。重要なのは、「AIが当たり前になった世界で、私たちはどう生き、どう活用していくか」を真剣に考えることだと、私は思います。

AIは「万能なアシスタント」であり「ドラえもん」である

AIの活用法について、私は「AIは“万能なアシスタント”だ」と捉えています。

かつては、たくさんの知識を暗記している「頭のいい人」が強い時代でした。しかし、インターネットの登場で、知識は「覚える」ものから「調べる」ものに変わりました。

そして今、AIという「万能なアシスタント」が、私たちのすぐ隣にいるような時代になりました。このアシスタントに「おいしい味噌汁の作り方」を相談するのか、「世界の政治経済」について議論するのか、それは私たち次第です。

この関係は、私には「のび太とドラえもん」にそっくりだと感じられます。

ドラえもんに「宿題を手伝って」と頼むだけのび太もいれば、「翻訳こんにゃく」や「どこでもドア」を駆使して、グローバルなビジネスを始めるのび太もいるかもしれません。AIという万能な道具を前にして、私たちのリテラシー(目的意識)が問われているように思うのです。

AIが変える未来のビジネス

もしAIによって「言語の壁」が完全になくなったら(=AI版の「翻訳こんにゃく」が完成したら)、どうなるだろうかと想像します。

世界中の誰もが母国語で最高の教育コンテンツにアクセスでき、ECコンサルを手がける私のような地方の小さな企業が、世界中のニッチな顧客とシームレスに商談できるようになるかもしれません。これは、「コミュニケーションのコスト」が限りなくゼロに近づく革命だと感じます。

かつて、自動車(オートモービル)が普及した時代を思い出してみてください。人々は駅前から郊外へと移動手段を手に入れました。その結果、「郊外の広い駐車場を持つファミリーレストラン」という新しいビジネスモデルが生まれ、大成功を収めました。

今となっては当たり前の理屈のように聞こえますが、これは移動手段の変化(移動コストの低下)がマーケティングや出店戦略を根本から変えた好例だと感じます。

AIがもたらす「コミュニケーション」や「知的作業」のコスト概念の変化は、これと同じように、まったく新しいビジネスやライフスタイルを生み出すはずだと考えています。

転換点を「見据えて動く」

私たちは今、まさに歴史的な転換点に立っているのだと、私自身は強く感じています。AIができる前の世界と、できた後の世界。その境界線にいるからこそ、未来を見据えて動く必要があります。

目の前にいる「万能なアシスタント」であり「ドラえもん」であるAIを使いこなし、世の中の変化を先取りしていく。そんな意識で、私自身も日々、情報収集と現場での活用に真剣に取り組んでいます。