食品ECにおいて、リピーターを維持する最大のポイントは「品質の安定」です。仕入れの状況によって品質や価格が変動することは避けられませんが、価格を据え置くために品質を落とすと、顧客は敏感にその変化を感じ取り、信頼を失うリスクがあります。本記事では、実際に発生した「価格を優先して品質を下げた結果、リピーターが減少した事例」を取り上げ、そこから得られた教訓と改善策を整理しました。短期的な売上確保ではなく、長期的な信頼とリピートを生む品質重視の戦略について、具体的な対応策や運営の工夫を紹介します。
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品質を守ることがリピートにつながる ― 価格調整と顧客満足のバランス
1. 実際に起きたクレーム事例

生鮮食品を販売していたとき、ある商品は「美味しい」と評判で、多くのリピーターがついていました。ところが翌年、同じ規格で商品を揃えることが難しくなりました。
- 今年は前年より品質が低いものが多い。
- 前年同様の品質のものは、品薄で仕入れ価格が1.6倍もする
- 調整すると、どうしても前年より品質が落ちる
このため「前年と同じ価格を維持するために、内容量を減らしたり、ランクを落とした商品を販売する」という判断をしました。しかし販売すると、お客様はすぐに味や品質の違いに気づき、「前より美味しくない」と感じてリピートをやめるケースが増えてしまったのです。
2. 最初の失敗と気づき
「価格を優先して品質を下げる」判断は、一時的には売上を守れたものの、長期的にはリピーター離れを招く結果となりました。お客様は意外なほど敏感で、わずかな品質差や味の変化でも「以前と違う」と感じると信頼を失ってしまいます。この経験から、「リピーターは価格よりも安定した品質を重視している」という大きな気づきを得ました。
3. 対応策と仕組み化
そこで方針を切り替え、品質を最優先にしました。
- 品質が下がるなら無理に規格を合わせない:昨年と同じ内容が用意できない場合は、品質基準を守ることを優先。
- 価格調整で対応:小さな変動なら価格据え置きで吸収。大幅な原価上昇は販売価格に反映し、その理由を明確に伝える。
- 顧客理解を得る工夫:商品説明やメールで「品質を守るために価格を調整しています」と誠実に案内。
この方針により、一時的に注文数は減りましたが、「美味しいから続けて買いたい」というお客様が残り、結果的にリピーターの信頼を維持できました。
4. 学びとTips
- リピーターは“安定した品質”を最も重視する
- 価格変動は誠実に説明することで理解を得られる
- 短期的な売上より長期的な信頼を優先することが大切
まとめ
生鮮食品や食品ECにおいて、品質はリピートを支える最も重要な要素です。価格を維持するために品質を下げると、短期的な売上は確保できても、リピーター離れによる損失が大きくなります。むしろ「良いものを安定して提供する」姿勢を貫き、必要に応じて価格調整を行ったほうが、長期的にお客様からの信頼を得られます。結果としてリピート率が上がり、安定したEC運営につながります。
